インフィニティ∞ファクトリー

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

永遠の唄

永遠の唄33

部屋に入り封印してある押入れを開いた
もう終わったはずの夢
数ヶ月ぶりにその姿を見た
少しホコリがかったギターケースを手ではたいてから取り出した

はは やっぱ未練あったんだろうなぁ
全てにケリがついていたなら
大事にしまっとくこともせずに捨てるよな

初めて買ったギター
ブランドものじゃなかったけど唯一無二の宝物

しっかりとホコリを払った後ゆっくりとケースを開けてみた
傷はあるけど手入れされているギターに

わずか数ヶ月の別れだったな…相棒
と声をかけてみた

なんとなく声が聞こえた

おかえり…

「ただいま…でもまだ決定したわけじゃないんだ
オレ まだ怖いし……はは何言ってるんだろうなオレ…」

ケースの蓋を閉め着替えることにした
さすがにスーツで歌うのはアレだし…
いそいそと着替え
髪も少しクシャっとワックスをつけ鏡で整えた
鏡越しでみる自分の表情はまだ少し困った感じがする
それでも…
少しだけ少しだけ自分の好きな人に歌を聞かせられることが
嬉しかった


「よっおまたせ」
「おかーえり」
ギターを担ぎ急いでマナの元へ下りていった
「おお ギター持ってるとなんか歌う人みたいな感じだぁ」
「はは そりゃ歌 歌う人ですから」
「なんかいつもと雰囲気違うしねー」
マナの目が急にキラキラしはじめたのは言うまでもない

「気のせい 気のせい さぁ行こうか」
「うん あ でもこの時間でも大丈夫なの?」
「まぁとっておきのところあるからそこなら大丈夫なんだな」
「それは楽しみだなぁ」
二人でテクテクと目的の場所へと向かっていった

あたりはチカチカと街灯があり
オレとマナは近所の土手まで上がっていった
「おお こんな場所があったんだぁ」
静まりかえった夜の土手にマナの声が響き渡る

「ここならどんなに声をだしても苦情はないからね
よくここで練習してたわけっすよ」

「なるほどここが陽ちゃんのステージ第一号ってわけだ」
「はは ヘタクソと土手はお似合いなんだって」

近くに腰を下ろしてオレは蝋燭に火を灯した
暗い闇の中にうっすらと周りを照らす蝋燭の灯
ギターケースを開け
久しぶりの相棒を両手で手に取り
音をあわせる
少し鼓動が高まった
自分にとって懐かしく心地のいい音
誰の音でもなく
正真正銘の自分の音
目をつむり一つ一つの音を確認していく
その間にマナは隣から移動して正面に座り込んだ

「今日はお客さんだからこっちで聞きます」
「お客さんって…」
マナの優しい笑顔が少し照れくさかった
少し目線を上に上げたとき綺麗な満月が雲から顔をだしてきた
「お 今日 満月か…」
「本当だ 綺麗だねぇなんか今から始まるコンサートのための演出かもね」
「コンサートか…」

「そう コンサート!野外ライブ!想像してみて!
陽ちゃんの声聞きたくて今 会場はすごく盛り上がってて
でも陽ちゃんは初めての大きなライブで少し緊張してる
それをあたしは最前列で見守ってるの」

気持ちいい夜風が包みこむ
チューニングも終わり辺りは再び静寂と化す
そしてマナに言われたとおり想像してみる

マナは少しずつ語る
「陽ちゃんは緊張してたけどあたしの姿を確認したら少し安心する
そして深呼吸したとき周りの照明がフッと暗くなる
お客さんも一斉に話すことをやめる」
まるでマナの言葉に呼応したかのように
月は少し雲に隠れ蝋燭の灯りだけが周囲を照らす

「陽ちゃん…はじまるよ…深呼吸してそしてギターを弾きはじめる」
マナの言葉につられギターを弾きはじめた
響き渡るギターの音色
「そしてスポットライトが陽ちゃんに…」
奇跡的な展開 隠れた月が再びあたりを照らす
まるでスポットライトのように…

マナは手を大きく叩き拍手を送った

「はじまりの歌」
オレはマナに題名を告げ
いつものように呪文を唱える

届け オレの気持ち 
伝わりそして広がれ!


©<コウ>_2017.(RSS/管理/提供: AL2)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。