インフィニティ∞ファクトリー

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アンダーグラウンド第三章

アンダーグラウンド第三章-18-44

アンダーグラウンド第三章-18-44
<鳴神 信也>

「ふむ。神経系にも影響はなかった。
私からすればかすり傷にしか見えないが無事治療は終わりだ。
後で化膿止めの薬を渡すから持っていきな。
まぁこんな傷で一人の命が消えるわけだがね。」

長ったらしい高説だったが気付けば治療は済んだ。
秀樹は腕をクイっと動かし動作の確認をとる。
麻酔が切れるまで思うように動かないがどうやらここでの生活には影響はなさそうだ。

「どうだ?私の治療はどの医者よりも優れている。傷跡もほとんど残らない処置はとった。」

「えと 一応礼は言っとく…か。」
「礼などいらない代価はしっかり頂いたからな。
それとモバイルを貸しな。私専用のデータを送信してやろう。」

「なんのデータだ?」
「ストックデータだよ。君が何人ここで補充したかのデータと
君がストックした人間をなんの実験で使ったかというレポートデータだ。
君が生きるために人生を終わらした人間の末路を君は知らないといけない。
それを知ることで一層「生きる」ことの重さを認知できる。」

これ以上長い話をされるのも面倒に感じた秀樹は黙ってモバイルを取り出しデータを受信した。

「ああ それと一つだけお願いがあるのだが…」
モバイルを秀樹に返すと鳴神は秀樹に頼みごとをしはじめた。

「ふん ここでは人に頼むことは禁句のはずだろ?
自分でやることだな。」

「いやもちろん謝礼はする。治療の無料化を考えてもいい。」

先ほどまで「生きるため」だのなんだの言っていた男が無料とか言うくらい大変な依頼なのか…と思い話しだけは聞いてみようと思った。

「この医院周辺で私も惚れ惚れするくらいの殺し方をする人間がいる。

私が発見した死体を検死したところ殺しに無駄がないのだ。
人のどこを壊せばいいのかを熟知している人間がいる。
私もたまに外出して探してみているのだが死体しか見つからない。
だからもしも発見した場合は私に教えてくれないか?」

「発見することで無料…だと?」
なぜそれだけの依頼で無料になるのか聞いてみた。
「そいつを見つけてどうするつもりだ?」
「私の助手にするつもりだ。このアングラでこれほど綺麗に殺す人間はなかなかいない。もし助手にできれば医学の進歩もありえる。」
表情を変えない男が珍しく嬉しそうな顔をした。

「もしオレが見つけて殺してしまったら?」
「ふふふ。大丈夫 今の君じゃ殺せないと思うから発見だけでいい。」

「オレでは殺せない…だと?」
ここの住人はどいつもこいつもオレを舐めているのか?

秀樹は確かに「殺しの才能」に目覚めた。
しかしまだその力を上手く使いこなすことができていない。
それでも同じ土俵に上がっている以上負けたくない。
現状ですら
真咲 京に勝てない。
高嶺 ユウジに勝てない。
中層中心部の都市郡の人間に勝てない。

今までの人生なら「どうせ才能ないから」などと諦めて
認めたフリをして手を引いていたが「絶対に負けたくない」ことに対しては認めたくない。
鳴神の言葉に腹の底から何か黒い感情が噴出したことを認識した。

これは嫉妬…

「面白い…。わかったよ。オレがそいつを捕まえてきてやる。」
冷静がモットーな秀樹だがどうやら譲れないらしい。

「まぁ君が死体にならないように…。私からすれば無駄死にはやめてほしい。
どうせなら「料金」として頼む。」

「全てが済んだらお前の命ももらうからな…。」
「どうぞ ご自由に。」

なぜかここでの出会いは自信過剰な人間が多いのか
ユウジにしろ真咲にしろ自分の「死」について考えていない。
負けることなど毛頭にないのか?

「ご自由にって…オレに殺せないと思っているのか?」
「思っているよ。いやむしろ誰にでも…だ。
「死」を考えるということはすでに自分に負けているということだ。
別に君を舐めているわけではない。」

その言葉が秀樹の意識に入り込む。
なるほどそういうことか…。
少しだけこの今まで出会ったアングラでの人間の強さがわかったような気がした。

診療所のドアからドンドンとノックがはいる。
「おーい ドクター。客が来たぞ。」
ユウジからの声が響く。

「ふむ 今日は珍しく来客が多いな。」
鳴神は椅子から立ち上がりスタスタと扉のほうへと向かった。

「鳴神…いや ドクターあんたの依頼うけたよ」
秀樹は振り向き伝えた。
「まぁ ほどほどに…」
そういうと扉を開け受付へと歩いていった。


©<コウ>_2017.(RSS/管理/提供: AL2)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。