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アンダーグラウンド第三章

アンダーグラウンド第三章-22-48

アンダーグラウンド第三章-22-48
<鳴神 信也>

この男の思考回路を知りたい。
秀樹は瞬間的に思った。
時間帯もちょうど「狩り」の真っ最中。
ここにいる住人の誰もが警戒する時間に鳴神は見た感じ武装しているように見えない。
目立つ白い白衣を纏いカツカツと足音を立てまるで散歩の途中で出会った知り合いに挨拶をするかのように声をかけてきた。

「あんた…無警戒すぎるだろ…」
「ん?そうかい?」

相変わらずの無表情で淡々と話す口調だけは変わらない。

「ところであんたそんな無防備で何してるんだ?」
「いや 例の男を探しにウロウロと…な」

正直 鳴神を見ても別に何も感じない。
真咲やユウジのような感覚もない。
はっきりいって中層にいながらこの男から感じる「何か」は
上層…いや外界の一般人と同じにしか感じない。
院内から一歩であれほど異様に感じたものもなく
殺そうと思えばいつでも殺せるだろう…。

「はっきり言うぞ?あんた早く医院に戻れよ…。
殺されるぞ?それとも殺してほしいのか?」

「そうかもな。はっきりいって私は医者であって殺人鬼でもない。
いざ戦闘となればすぐに殺されてしまうな。
しかしそういったリスクを持ってでも私は例の人間を探し是非とも助手にしたい。」

「んなこといっても殺されたら元も子もないだろ?」

「ふふふ でもなぜか運良く今日まで生きてこれた。」

少し自慢気に答えてくる姿を見て秀樹は思った。

殺されるのも時間の問題だな…と。

確かに「人」というものは「運」よく生きている。
普通に生きていてもいつ何があるかはわからない。
地震等の自然災害
乗り物の事故
そう考えるとこの世に「安全地帯」というものはないのも確かだ。
しかしわざわざ実力もなくフラフラとこの中層を歩くことが秀樹にとってナンセンスでしかなかった。
それとも鳴神は「まだ死ぬ運命ではないから。」というような考えの持ち主なのだろうか?
瞬時に色々な思考が巡ったが鳴神の素振りを見る限り
「この男は欲望に忠実なだけ」という答えに行き着いた。


「また何か考えているのかい?」
不意打ちのような言葉を鳴神からもらった。

「君はいつも冷静だがどうもネガティブ思考すぎる。
何事も警戒することは大切だけど考えても仕方ないことだろ?」

「ふん…。ネガティブなのは生まれつきだ…。」

「それは勿体ないもっとポジティブになったほうがいい。」

「ポジティブでも何も変わらないだろ?」

「君の言うとおりかもしれないな。まぁ私は自分の欲望に忠実なだけだがね…。
欲しいもののためならその目的のために死んでもいいと思ってる。
どうせいつか死ぬ。ならなんのために死ぬ?人のため?違うね。自分のために死ぬ。
私の人生はそれでいい…なぜなら…」

院内でもないのに何を血迷ったのかこの男いつもどおりの説法を開き始めた。
どうもこの男一回話し始めると場所を選ばずに自分の世界に入ろうとするらしい。
鬱陶しくて仕方がない。

「…わかったわかった。そのうち話しを聞くから今はやめろ!フィールド外とはいえ屋外だ…。
狙われてるかもしれない。」
話しの途中で手を差し出し鳴神を切ったことに少し面白くなさそうな顔をしているが
構っている暇はない。
とにかく今日の目的は「満月の夜のみ出現する男」が先決だ。
鳴神を自分の後方に位置づけさせ少し周りを警戒した。
別に鳴神を守ろうという意思は少しもない。
勝手に撃たれて死んでもいい…。
死んでもいい?
確かこのアングラには医者はこの男一人…。
死なれちゃ困るのか?
秀樹は再び思考を巡らせた。

「ところでドクターこの中層にあんた以外の医者はいるのか?」
試しに質問してみると
「いるわけない。この犯罪者の溜まり場に医者が来ると思うか?
別に君達はここで死んでもいいはずの人間。もっと言えば君達はすでに外界からは死んだことになっている。それに…」

また長々と続きそうなので秀樹は口をふさいだ。
つまりこの世界には医者は鳴神のみ。
なるほどどうしてこの男が今日まで生きてこれたか。
唯一無二の医者だからというわけか…。

こんな無表情なくせに話し好きの変な男でもいなくてはならない存在なのか…。

チラっと後ろを向き鳴神の姿を見てため息をつく。

「おい君。失礼じゃないか。人の顔を見てため息なんて。」

「別に…」
秀樹は素っ気無い返事を返し再び周囲の警戒にあたった。
しばらくすると近い位置から断末魔がかすかに聞こえた。

「来たか…?」

秀樹は銃を構えその現場へとゆっくりと忍びよっていった。



©<コウ>_2017.(RSS/管理/提供: AL2)
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